旅行会社に入社した新入社員は業務に付く為には、業界用語や専門知識の習得、専用端末の操作方法や各種書面の作成方法等、覚えるべき事は沢山あります。
今回は私自身の新人時代の経験や新人指導の経験から必要な基本業務を覚える為に”やるべきこと”や”覚え方=教え方”を紹介していきます。
※今回紹介する方法や、大手企業などの新人研修等がない比較的中小企業向けの内容となっています。
基本業務の覚え方
アルファベッドの読み方・エイブル,ベイカー
旅行業界や航空業界で使うアルファベッドの特殊な読み方で、電話等の口頭でのやり取りの際に間違いなく正しく伝達する為のものです。
例えば、Dがディーなのかティーなのか分かりにくかったり、Mがエムかエヌか分かりにくい時がありますよね。
- a、エイブル
- b、ベイカー
- c、チャーリー
- d、ドッグ
このアルファベッドの読み方が覚えられていないと何も始まりません。
また、同業者間では基本この読み方でやり取りをするので、正しく発音できなかったり、シドロモドロだと会社としてのメンツに関わるので、しっかりと覚えたいところです。
会社に入った初日に「まずはこれを覚えろ!」と試料を渡されて、ひたすらデスクで暗記するのもいいのですが、非常に非効率なので、
内定から入社までに期間のある場合は、メールや郵送で試料を送り、事前に覚える期間を作ってあげると、少なくとも1日は無駄を無くすことが出来ます。
3レターコード・2レターコードの覚え方
3レターコード・2レターコードとは、これは空港名や都市名をアルファベッド2~3文字で表したコードのことで、海外航空券やホテルの予約・手配に欠かせない専門用語の一つ。
≪例≫
- 日本:3レターコードJPN、2レターコードJP
- 東京:3レターコードTYO
- 成田:3レターコードNRT
- 上海:3レターコードSHA,PVG(虹橋空港SHA、浦東空港PVG)
実際にGDSで入力して覚える
実際に業務で使う3レターコドは旅行会社や部署によってある程度扱う方面が決まっているので、さほど多くはないのですが、それでも業界未経験の新人にとっては膨大な量になるので、ひたすら紙に書いて覚えるのでは非効率です。
そこで「実際にGDSで入力しながら覚える」のがおすすめです。
3レターコードが記載されている地図などを見ながら、実際にGDSでスケジュール検索や空席照会で「成田~○○」「関空~○○」といった風に検索してみながら覚えることで、「3レターコードの暗記」「GDS操作の慣れ」「大まかなフライトスケジュールの把握」等、一度に多くのことを学ぶことができます。
しかしそれだけでは、時間や量が足りないのが正直なところなので、やはり自宅を含めた空き時間を使った昔ながらの暗記が必要となってしまいます。
これも、先に述べたアルファベッドの読み方の読み方と同様に、内定から入社までに期間のある場合は、メールや郵送で試料を送り、事前に覚える期間を作ってあげると、更に無駄な時間を省略することが出来ます。
GDSの覚え方
GDSとは、航空券のフライトスケジュールを検索し、予約から航空券の発券までを行う旅行会社や航空会社専用の端末機器の総称で、航空券を取り扱っている旅行会社であれば必須業務となります。
航空券は”取り合いの世界”であること、電話対応が必要な場合は、スムーズに流れるように熟すことが求められるので練習は不可欠です。
これも、業界未経験であれば初めての内容となるので、慣れるまでは多少時間がかかりますが、慣れればフライトの検索も”秒”でこなせるようになります。
ひたすらスケジュール照会・空席照会・料金計算を繰り返す
まず最初は、空港の3レターコードの暗記と併せて、スケジュール照会と空席照会、料金計算を繰り返し練習して慣れていきましょう。
先輩の電話を聞きながら、自分も調べてみる
他のスタッフが顧客からの問い合わせの電話にでて、行き先を復唱している場合は、自分も調べてみましょう。
もしも、先輩と同等かそれよりも早く、正しい料金を調べられた場合は第一ステップクリアです。
ダミーのPNRを作成して練習する
各GDSに練習用の操作領域や非アクティブステータスのコマンドがあるので、それを使って実際に予約記録(PNR)を色々なパターンで作成してみましょう。
これをすることによってオープンジョーの旅程、片道旅程、小人や幼児のいる旅程など、これらの練習を通して実践力が身に付き、電話対応を始めた際にイレギュラーに直面して硬直することが少なくなるでしょう。
マニュアルの全ページのコマンド(最低早見表)を全部入力して練習する。
最近はややこしいコマンドを覚えなくても、便利なツールやアプリが開発されて来ているので、昔ほどコマンドを覚える必要はなくなってきているかもしれませんが、やはり基本となるコマンドは覚えておく方がいいでしょう。
「GDSの操作を制する者は、航空券を制する。」と言っても過言ではありません。
マニュアルに載っている全コマンドを練習して覚えることで、航空券の方面においては、年配の熟年社員よりも優位に立つことが出来て、結果的に会社の未来を担う社員となります。これは、若手だからこそできることだと思います。
全ページのコマンドが無理な場合、最低でも早見表に乗っている基本コマンドぐらいは完璧に熟せるようになることが必須です。
確認書・請求書・旅程表の作る練習
確認書・請求書・旅程表はお客様に送付するものなので、間違いは許されません。だからと言って、時間が掛かりすぎるのも問題です。
確認書や請求書を作る為には、航空券やホテルの変更やキャンセルの規定などのを確認する作業も必要となり、新人にとっては非常に難しい作業となります。
実際に発生した案件で練習するのもいいのですが、事前に架空の顧客情報で予め練習しておくことで、実際の予約が発生した際にスムーズに作成することができるでしょう。
更に上達する為に必要なこと
自分用の資料を作成する
諸外国のビザの代行申請を取り扱っている旅行会社であれば、ビザに関することも覚えなければいけません。
ビザの申請は必要書類だけではなく、細かな条件がある場合が多いので、覚えなければいけないこと、注意しなければいけないポイントなどたくさんあります。
既に社内にある資料を使うのもいいのですが、正直あまり見やすいものでない時もあります。そういう時は、自分用にワード等で資料を作り直したり、更新された情報等を追加したり整理したりして、自分用の資料を作成し、必要な時に直ぐに分かるようにしておきましょう。
技術を盗む
先輩社員のいいところはそのまま盗んで真似してしまいましょう。
例えば、
- 外国語を使う会社であれば、実際にお客様と使っている”フレーズ”
- 確認書や旅程表、見積書で使っているフォーマット
- GDSの便利なコマンド
など。
「真似していると思われるか」などは気にする必要はありません。
何事もメモ
最近はメモをしない人が増えている言われていますがどうなのでしょうか。
余程の記憶力の持ち主でない限り、メモしないと忘れてしまいます。
そして、メモをしただけではなく、そのメモした内容を後でしっかりと再度まとめるなり、整理しなければ意味がないことを忘れてはいけません。
また、社内業務を覚える為だけでなく、お客様や業界関係者とやり取りをした際も、かならずメモする習慣をつけておかなければいけません。
まとめ
いかかでしたでしょうか。
余程の大手でないと入社日までの「新人研修」という会を設けている企業はなく、殆どの企業ではOJTの方式で、先輩社員が教えながら覚えていくスタイルが多いと思います。
忙しそうな社内で一人だけひたすら専門用語を覚えるだけの日々というのも、新入社員の立場的にも辛いものがあります。
最初の1~2週間ほどは、社外での努力も厭わないのであれば、基礎知識は少し自宅等で勉強しておき、社内では実践的な形式で取り組んでいくことが一番の近道になると思っています。