海外旅行に必要な「パスポート(旅券)」の申請方法、必要書類、費用、所要日数、代理申請の方法についても紹介します。
旅券(パスポート)とは
パスポートとは、日本政府が外国に渡航する者の身分や日本国籍であることを証明し、渡航先の外国政府に対し保護を依頼する為の公文書となる。
出入国審査の際の提示から始まり、ホテルのチェックイン時、各種身分証の提示が必要な場面など、国や地域によっては、旅行中にパスポートを使う場面が意外と多い。
入国時のパスワードの提示は勿論のこと、出国の際にもパスポートの提示が必要となるので、万が一紛失した場合、再発行しなければ日本に帰国すること自体が不可能となる。
海外においては”命の次に大切”と言っても過言ではない。
旅券(パスポート)の種類
一般旅券(PASSPORT)
一般人が手にするのは主にこのタイプとなる。
- 海外渡航の際に必要とされる旅券で「10年用」と「5年用」がある。限定旅券:渡航先や有効期間が限定されているタイプの旅券。
- 記載事項変更旅券:記載事項に変更が発生し有効期間を返納した旅券の有効期間満了日までの旅券
緊急旅券(EMERGENCY PASSPORT)
海外において緊急時に発行される1年有効の非IC旅券
帰国のための渡航書(TRAVEL DOCUMENT FOR RETURN TO JAPAN)
紛失等で旅券を無くした者が緊急で海外から日本へ帰国する際に旅券に代わりとなる渡航文書(非IC)
帰国の為の文書の為、他の国へ行くことは出来ない。
公用旅券(OFFICIAL PASSPORT)
国の用務で海外に渡航する場合に発給される旅券
外交旅券(DIPLOMATIC PASSPORT)
外交目的で海外に渡航する場合に発給される旅券
必要書類
一般旅券発給申請書
- 申請書には「5年用」「10年用」「記載事項変更用」がある。※20歳未満は5年用のみ。その他追加書類等は以下未成年の追加書類を参照
- 折り曲げ厳禁
戸籍謄本(又は抄本) 1通
- 6ヵ月以内作成
- 同一戸籍内の方が同時に複数名申請する場合、謄本1通で可。
写真 1葉
規定サイズ
- 6カ月以内撮影
- 正面、無帽、無背景
- 縦45ミリ×横35ミリ(ふちなし)
- 顔の縦の長さ:32~36ミリ(写真縦の70~80%)
- カラーor白黒
NGポイント
- ピンボケ
- 影のあるもの
- 鮮明であり、明るさやコントラストが適切であること
- 人物が不鮮明なもの(背景との境界が同化)
- 眼鏡のレンズに光が反射しているもの
- 激しい表情(歯が見えるほどの笑顔等)
- 前髪などで目などが隠れているもの
- ヘアバンドなど装飾品で頭髪を覆っているもの
- 傷や汚れがあるものや、変色しているもの
- ジャギー(階段状のギザギザ模様)があるもの(※デジタル写真の場合)
- 写真専用紙等を使用せず画質が不適切であるもの(※デジタル写真の場合)
身元確認のための書類1点または2点
基本は以下の内容となるが、都道府県により異なる場合がある。
1.1点のみで有効なもの
- 日本国旅券(有効なもの又は失効後6ヵ月以内)
- 個人番号カード
- 住民基本台帳カード(写真付)
- 写真付身体障害者手帳(貼替え防止加工のもの)
- 運転免許証
- 運転経歴証明書(平成24年4月1日以降に交付されたもの)
- 電気工事士免状
- 船員手帳
- 写真付身体障害者手帳(貼替防止加工されているもの)
- 宅地建物取引士証
- 海技免状
- 官公庁職員身分証明書
- 特殊法人職員身分証明書
- 猟銃・空気銃所持許可証
- 無線従事者免許証
2.2点において有効となるもの
書類の組み合わせは、「A+A」若しくは「A+B」のいずれかのみ有効となり、「B+B」は不可
《A》
- 被保険者証(健康保険・国民健康保険・船員保険など)
- 共済組合員証
- 年金手帳(国民年金・厚生年金など)
- 被爆者健康手帳
- 後期高齢者医療被保険者証
- 介護保険被保険者証
- 印鑑登録証明書(+実印も必要)
- 国民年金・厚生年金・船員保険・共済年金恩給などの証書
《B》
- 「社員証」「学生証・生徒手帳」「公の機関が発行した資格証明書」※写真付き
- 失効旅券(失効後6ケ月月を越えるもの)
- 本籍地の市町村発行の身元証明書
- 療育手帳
その他(該当する場合のみ必要)
住民票
- 申請窓口での住民基本台帳ネットワークシステムの利用を希望しない場合。
- 居所申請をする場合。※居所申請については、以下「居所申請について」を参照
以前取得した旅券
- 過去に取得した旅券で失効処理(VOID)を行っていないものは必ず提出し、失効手続が必要。
- 失効後6ヵ月以内のものは、身元確認書類として使用可能。
印鑑
本人確認書類として印鑑登録証明書を提出する場合(登録された実印が必要)。
未成年の追加書類
追加書類(A~Bのいずれかが必要)
(A)申請書裏面の「法定代理人署名」欄に法定代理人の署名が必要
(B)法定代理人が遠隔地等の理由において申請書への署名が不可能な場合、法定代理人の署名のある「同意書」が必要
※20歳未満でも既婚者の場合、民法上にて成年扱いとなる為、法定代理人の署名は不要となる。
※未成年者本人が申請するのではなく、法定代理人が代理にて申請書類等を提出する場合、申請書裏面の「申請書類等提出委任申出書」の記入は不要となる。
法定代理人の定義
- 父母が婚姻中の子の場合、共同親権者である父及び母の一方の署名をもって他方がこれに同意しているものと推定される。
- 子が養子縁組している場合は養親(※実親は法定代理人とはならない。)
- 離婚により親権者が父または母のいずれかに定められている場合、法定代理人は親権者たる父または母の一方となる。
- 親権を行う者がない場合は未成年後見人。
居所申請について
居所申とは即ち「住民登録をしていない都道府県での申請」のことである。
旅券の申請は、住民登録をしている都道府県で行うことが原則となるが、居所の所在地を管轄する都道府県で申請することも可能。但し、最終的な申請可否や必要書類等は各都道府県で異なる為、事前に申請する旅券窓口に確認する必要がある。 尚、申請及び完了後の受け取りともに原則本人のみとなる。
追加必要書類(A~Cの全て)
A.居所申請申出書
B.本籍地記載の住民票の写し(※住基ネットは住民登録されている都道府県のみ利用可能。一時帰国者は住民票不要。)
C.居所の立証書類(1~5のいずれか)
- 学生証(居所の住所記載)
- 賃貸借契約書(居所の住所記載)
- 最新の郵便物(公共料金請求書等、居所の住所記載のもの)
- 居所証明書(所属会社または家主が作成したもの)
- 一時帰国者は、「長期滞在査証」「再入国許可のある日本国旅券」「外国政府発行の外国人登録証、永住証明書、再入国許可証」のいずれか
申請費用
≪一般旅券(PASSPORT)≫
新規発給申請・切替申請
10年用(20歳以上)
合計16,000円(内訳:収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年用(12歳以上)
合計11,000円(内訳:収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)
5年旅券(12才未満)
合計6,000円(内訳:収入証紙2,000円、収入印紙4,000円)
記載事項変更旅券の新規発給申請
合計6,000円(内訳:収入証紙2,000円、収入印紙4,000円)
査証欄増補申請
合計2,500円(内訳:収入証紙500円、収入印紙2,000円)
限定旅券の新規発給申請
合計6,000円(内訳:収入証紙2,000円、収入印紙4,000円)
渡航先追加申請
合計1,600円(内訳:収入証紙300円、収入印紙1,300円)
申請(書類提出)~受領(受け取り)
申請(書類提出)
必要書類一式を揃えたら、最寄りのパスポートセンターに行って、申請を行います。
行って、その場で貰える訳ではないので、注意が必要です。
営業時間
受付時刻は各都道府県にあるパスポートセンターや窓口により異なるが、
平日のみ、朝9時30分から夕方16時30分~17時00分の間が多い。
また、全国共通で午前中が比較的空いており、午後は込み合う傾向にある。
所要日数
原則的に5営業日となる。
≪緊急の場合≫
緊急での発給が必要な場面、2~3営業日で発給される場合もある。
しかし、窓口にて「緊急性がある」と認められなければならず、緊急性を証明する書類の提示が必要となる。(一般的には購入済みの”eチケットお客様お控え”等)
受領(受け取り)
申請完了後の受領(受け取り)については、原則申請者本人が行う必要があるが、条件を満たす場合、申請者以外の代理受領も可能となる。代理受領については、下段の「代理受領について」を参照。
必要書類
- 一般旅券受領証(申請時に窓口で交付される。)
- 手数料相当額の収入印紙及び当該道府県収入証紙
※消印はしない。
※東京都の場合は現金。
代理申請について
パスポートの申請については、原則的に申請者本人が行う必要があるが、条件を満たす場合、申請者以外の代理申請も可能となる。大きく分けて2パターンに分かれる。
≪代理申請≫法定代理人 (親権者等)が代理で行う場合
≪代理提出≫第三者が行う場合
※代理提出は、受付時間に制限がある場合や、事前予約制となる場合が多いので、事前に各窓口に確認することが望ましい。
代理が可能な者
代理申請
法定代理人
※法定代理人の基準に関しては、上述の「法定代理人の定義」を参照。
代理提出
- 申請者の配偶者または2親等以内の親族(姻族を含む)。
- 申請者が指定した上記以外の者
(2)の選定基準
- 申請の内容を知り、かつ都道府県知事(国内)、また領事官(海外)の指示を申請者に確実に伝達する能力がある者。(※年齢制限なし)
- 旅行業者(旅行業者代理業者を含む。)
不可となるケース
- 有効な旅券を紛失、盗難、焼失、著しく損傷した場合(事前に要確認)
- 居所申請をする場合
- 代理申請(提出)者が正当な代理者かどうか定かでないと判断される時。
- 申請書の「刑罰等関係」欄に該当する場合
- 対立地域への渡航等の事由により旅券の二重発給を受ける場合
- 前回申請した旅券を半年間受領しないまま、再度申請する場合
- 外国における災害や事故等の事由により親族や関係者が緊急に渡航する場合
- 緊急発給を要する場合で、都道府県知事がその理由について申請者に対して事情を直接確認する必要があると判断される場合。
- 申請書の記載内容に疑いがある場合。
追加必要書類
- 代理人の身分証明書(代理提出の場合は外務員証)
- 申請者名簿(代理提出の場合)
代理受領について
申請完了後の受領(受け取り)については、原則申請者本人が行う必要があるが、条件を満たす場合、申請者以外の代理受領も可能となる。
代理受領可能なケース
- 査証欄増補申請
- 限定旅券の渡航先追加申請
追加必要書類
- 一般旅券受領証(申請者本人の署名が必要)
- 代理人の身分証(保険証、免許証等)
- 手数料相当額の収入印紙及び当該都道府県収入証紙
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海外旅行の必須アイテムでありながら、旅行直前にパスポートが期限切れになっていたり、まだ申請していなかったりと案外トラブルの多かったりします。
申請にも思っている以上に日数がかかるので、海外に渡航する予定が出来た際は、まず初めにパスポート(旅券)の申請を行うようにしましょう。
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