日本から中国に海路で行く場合、新鑑真と蘇州号のどちらかになります。
今回は、過去に実際に蘇州号を利用して中国に行った経験から、中国への船旅がどんなものなのか、写真と体験談を交えて紹介していきます。
注意事項
2020年9月28日より蘇州號の運営は上海フェリー株式会社から、新鑑真を運航する日中国際フェリー株式会社へと引き継がれました。
【解説】上海フェリー「蘇州号(大阪~中国・上海の船旅)」実際に乗ってみた感想・レビュー
蘇州号の紹介
蘇州号は日本と中国を海路で繋ぐフェリーのひとつで、大阪と神戸の相互入港で上海まで2泊3日です。
以前は「上海フェリー」により運航されていましたが、現在は「新鑑真」を運航している「日中国際フェリー株式会社」と合併し、運航が引き継がれています。
2020年のコロナ以降旅客運送が中止され、その後現在も上海ターミナルの改装工事により引き続き貨物輸送のみとなっています。
詳しくは日中国際フェリーの公式サイトにてご確認下さい。
料金
以下に2011年に私が蘇州号に乗船した時の価格を掲載しています。
貴賓室
貴賓室(洋室※ツイン)定員2名
往復:150,000円/1室
片道:100,000円/1室
特別室A
特別室A(洋室※ツイン)定員2名
往復:60,000円/1名
片道:40,000円/1名
特別室B
特別室B(洋室※2段ベッド)定員4名
往復:60,000円/1名
片道:40,000円/1名
特別室C
特別室C(洋室※シングル )定員1名
往復:60,000円/1名
片道:40,000円/1名
※窓が無い部屋となるので、要注意。
一等室
一等室(洋室※2段ベット)定員5名
往復:37,500円/1名
片道:25,000円/1名
二等室A
二等室A(洋室※2段ベット)定員5名
往復:30,000円/1名
片道:20,000円/1名
二等室B(和室※畳)定員16名
往復:30,000円/1名
片道:20,000円/1名
二等室B(洋室※カーペット)定員40名
往復:30,000円/1名
片道:20,000円/1名
※画像引用元:https://www.i-net-japan.co.jp/suzhou/suzhou00.html
スケジュール
運航:週1便
金曜:大阪12時00分出発、日曜:上海10時00分到着
火曜:上海11時00分出発、木曜:大阪09時00分到着
※乗船手続きは出港時間の1時間前までに行うこと。
申し込み方法
「公式ホームページ」「FAX」「旅行代理店」の3つから選ぶことが出来ます。
実際の旅行記:乗船から下船までを紹介
1日目:乗船日、上海へ向けて出発
乗船手続きと出国審査を終えて船に乗船します。
出国審査や乗船前の手荷物検査はは飛行機と同様に行われますが、飛行機に比べると大分と緩い印象でした。
乗船後は部屋に荷物を置きに行きます。今回利用したのは特別室Cの1人部屋ですので、階段で最上階の3階まで上がります。
廊下はこんな感じです。
特別室Cの1人部屋はこんな感じで、窓はありません。これが後々つらいことになります....。
部屋の中にはテレビ、ベッド、ソファー、机、トイレ&シャワー&洗面台、懐中電灯、コンセントが設置されており、冷蔵庫以外は一般的なホテルと同じ設備が備わっています。
荷物を置いたら甲板に出て、出航を待ちます。
いよいよ中国への渡航が始まると思うとドキドキワクワクします。
この時が初めての船旅でした。
中国の船と聞いていますが、日本の国旗が掲げられていました。館内の注意書きにも「船の中で起きたことは日本の法律が適応される。」と書いてありました。
小型船に先導されて出航です。
出航後、程なくして昼食の時間となったので、レストランに移動します。
これで、600円くらいだった気がします。味付けは日本人向けで、量は少ないのでお腹はあまり一杯にはなりません。
当時は凄く割高な印象でしたが、今(2025年)と比べれば当時はまだ物価が低かっんだと実感します。
せっかくなので、昼食後も甲板に出てしばらく景色を楽しみます。
明石海峡大橋か瀬戸大橋のどちらかだったと思います。
内海にいる間は波も穏やかで、揺れも殆どありません。
夕食前に展望風呂で入浴を済ませてしまいます。
因みに、この展望風呂は1等室以上の乗客のみが使用できるはずなのですが、2等室の客もお構いなしに使っているのを目撃してて複雑な気持ちになりました。
レストランで夕食。基本的に昼食と夕食は好きなものを取るタイプになります。
これで860円。
夜甲板に出ると、綺麗な夜景が見えていました。
2日目:終日海の上、船酔いで苦しむ
2日目の朝、レストランで朝食です。朝食は既に盛り付けてあるプレートを取って、ドリンクだけ好きなものを取るスタイルです。
価格はちょっと忘れてしまいました。
周りは殆ど海しか見えなくなりました。たまに遠くに陸地が見える時もあります。
甲板にある椅子に座って海でも眺めて、、、と思いましたが外海に出たのか、風が強くゆっくり座る雰囲気でもないので、館内に戻ります。
何だかんだで昼時になったので、レストランで昼食。
この後、船が揺れ始めて、気分が悪くなり始め、これが船酔かと実感。
当時はアネロンなどの酔い止めの存在を知らなかったので、何も持ってきていませんでした。
風に当たればマシになるかと思い外に出てみます。
最近は後部のデッキのみ外に出られる事が多いですが、この時の蘇州号では船の側面に出る事が出来ました。
写真では真っすぐですが、かなり激しく揺れています。
船の中にいるよりもマシな気もしますが、風が強く、波の飛沫が霧状になってかかるので、長居は難しそうです。
もうこの頃には周りは"海"だけです。景色は素晴らしいですが、酔いが激しくて....。
しばらく潮風に当たっていましたが、一向に船酔いが収まる気配がないので、部屋に戻って寝ることにしました。
しかし、ベッドに横になっても船事態が揺れているので、辛い状況は変わらりませんでした。
そして、時間は忘れましたが、スタッフが部屋のゴミの回収に回ってくるのですが、寝ていてノックの音に気がつかないと、部屋の鍵を開けて入ってきました。いやぁ、あれには驚きました。
ようやく気分が楽になり下に降りてくるが、レストランの夕食の時間は既に終了しており、食べるものがありません。
仕方なく、カップ麺の自動販売機でカップヌードルカレーを2つ食べることにした。
1階では中国の映画が放送されていたので、しばらく眺めて過ごします。
レストランは閉まっているが、バーは空いているようでした。しかし、入りたい雰囲気でもないので、辞めておきます。
喫煙ルームでは、海外のバックパッカー達が楽しそうに談笑していました。
当時私は一人で、そんな彼らの姿を見て寂しかった....という事はありませんが、ひたすら船酔いが辛かったです。
寝る前に甲板に出ると、風は強いが月が出ており、遠くに何かの明かりが見えていた。
九州のどこかか、韓国の済州島でしょうか。
3日目:下船日、上海に到着
3日目の朝。恐らく、もう上海近郊に到着したのでしょう。波も安定しており、気持ちよく朝食を食べることが出来ました。
程なくして、上海の街並みが見えてきました。
黄浦江に入ったのでしょう。水がかなり泥の色をしています。
途中、軍艦が見えたり
潜水艦が見えたりして、面白い。そろそろ、到着が近いので部屋に戻り身支度をします。
身支度を終えて1階に降りると、既に多くの乗客達で一杯です。
下船後はトロリーバスで入国審査場へと向かいます。
中国での入国審査では、それなりにしっかりとしたもので、入国目的等を聞かれました。
入国審査を終えて、駐車場でタクシーに乗り、上海空港へと移動しました。
蘇州号に実際に乗った感想・レビュー
2011年に中国への留学の際に、蘇州号を利用したので、
※この記事を書いている2020年2月から9年も前なので、今とは違っているところもあるかもしれません。
※2025円に再編集していますので、現在は更に違っている所があると思います。
荷物は予めフェリー乗り場に郵送がおすすめ。
新鑑真号も蘇州号もどちらも乗船手続きは9時30分から始まります
9時30分までに大阪南港に到着しようとすると、
この時代に敢えてフェリー利用しようとする人は、
平日のラッシュの時間帯に、
どちらの会社も、事前に荷物を郵送しておくことが出来るので、
実際に私も留学時に利用した際は、
出国審査や入船手続きは飛行機に比べてかなり緩い
一応、国外への移動となるので出国審査や保安検査はありますが、空港に比べるとかなり緩かったです。飛行機のような身辺検査の類はありませんでした。ものの数分で終了しました。
服務員の女性は親切で力持ち
乗船すると飛行機のキャビンアテンダントにあたる服務員の女性が出迎えてくれます。私が利用した特別室CはAデッキだったので、階段で3階まで上がらないといけなかったのですが、服務員の女性が「お持ちします」と言って20KGのスーツケースを片手で軽々と持ち上げてそのまま3階まで運んでくれました。
それ以外の場面でも終始にこやかで、日本語はあまり話せないようでしたが、聞き取りやすい丁寧な中国語で印象は非常によかったです。
レストランは値段が高くて、営業時間は短い
館内にはレストランが併設されており、しっかりとした食事を取ることができます。
しかし、このレストランの営業時間が「7:30~9:00・12:00~13:30・17:30~19:30」と限られており、この時間をの逃すと売店で菓子類を買うか、船内にあるカップ麺の自動販売機しかありません。
レストランの料理は値段の割りに少ないイメージで、それなりにお腹を満たそうと思うと1,000円近くなります。
カップ麺の自動販売機は下界の2倍くらい。
質の低い日本人の常連客がいた
中国で駐在員やっているというこの船の常連の男性2名が乗っていましたが、彼らのマナーが非常に悪かったです。
レストランでは服務員に対して不必要な要求をし、挙句の果てには服務員を売〇したという会話までしていました。
尚、この船にある”展望風呂”は1等室以上の乗客のみ利用可能なのでが、彼らは二等室Bであるにも関わらず、利用しており、開いた口が塞がりませんでした。
船内の客層は様々
客層は「帰国する子供連れの中国人家族」「ビジネス渡航」「外国人バックパッカー」「留学生」等様々で、船内は賑わっていました。
甲板は24時間自由に出入り可能
甲板は出航から入港まで24時間自由に出入りすることが出来ます。但し、夜は風が強く万が一海に落ちても誰も気が付いてくれないので、くれぐれも注意が必要です。
1人部屋には窓が無いので、私もよく甲板に出て気分転換をしていました。
外海に出ると船酔いする
これは人によりますが、私は酷かったです。1日目は瀬戸内海を進む為、揺れ等も殆どなく快適ですが、2日目からは外海に出る為、波も荒くなり船内の揺れも感じ始めます。私はこういった船旅が初めてだったで、対策を何もしていなかったので、ベッド起きられないくらい船酔いが辛かったです。
1人部屋は気楽ですが、窓が無いので気分的にも滅入ってしまいました。
まとめ
格安航空券が当たり前のように広まっているこのご時世では、価格面でのフェリーの利点は殆どありません。
しかし、飛行機に詰めない荷物を運ぶ場合や、船旅旅でしか得られない体験もあります。
2泊3日の行程である為、長期的な休みが無いと旅行の手段として利用することは出来ませんが、時間に余裕のある人は利用してみてはいかがでしょうか。
空路での国境越えとはまた違った魅力があります。