今回は新HSKの最高級である「筆記:6級」と「口頭:高級」の受かり方について紹介していこと思います。
新HSKとは
HSKは中国政府公認の中国語能力検定試験で正式名称は「漢語水平考試」。2010年に大きく改訂され以前の全11級制から全6級制へと変更となり、以前は新HSKと旧HSKと呼び分けられていましたが、今はHSK=新HSKとなっています。
他にも、中国語の能力を証明する為の資格試験として「中国語検定」とありますが、それらの違いを超ざっくりと説明します。
HSKと中国語検定の違い
主催
HSK:孔子学院总部/国家汉办(中国政府教育部)
中検:日本中国語検定協会(一般財団法人)
目的
HSK:中国語によるコミュニケーション能力の測定
中検:中国語による翻訳能力の測定
問題
HSK:問題文も全て中国。
中検:問いは日本語で書かれている。
効力&認知
HSK
中国政府公認の資格の為、中国への留学や就職など、中国国内での活躍の場合は「HSK」が基準となる。日本国内での認知度で言うと、中国方面への業務を中心に取り扱っている企業であれば認知度は十分にあり就職の際も効力があるが、そうでない場合の認知度は「中国語検定」には劣る。
中検
日本国内では、英検・漢検と同様に知らない人でもレベルが伝わり安く、就職の際も中国語を主な必要スキルとしていない企業でもレベルが伝わり安い。(英検・漢検の感覚。)
但し、「中国語検定」の効力は日本国内限定なので、中国への留学時の学力基準等には使うことは出来ない。
HSKと中国語検定のどっちを受験すべきか
「中国への留学や就職を考えている」→HSK。
「日本で中国語を活かして就職する」→HKS、中国語検定(上級であればどちらでもOK)
「日本の就職で特技程度でPRしたい」→中国語検定
もしも、就職までに時間があるなら、両方取得しておけば心配ないですね。
HSKの各級の難易度と個人的な感想。
HSKは1~6級まであり、1級が簡単で、数字が大きくなるほど難しくない、6級が最高級となります。
筆記試験の各級のレベル
1級:非常に簡単な単語を使用できるレベル(大学の第2外国語で半年で到達できる範囲。)
2級:簡単な日常会話ができるレベル(大学の第2外国語で1年で到達できる範囲。)
3級:基本的なコミュニケーションがとれるレベル(旅行で使えるレベル)
4級:比較的流暢にコミュニケーションがとれるレベル(中国人と広範囲の会話が出来るレベル)
5級:応用力のある会話やスピーチができるレベル(新聞・テレビ・映画が理解出来るレベル)
6級:中国語を不自由なく使用し、自身の考えを流暢に表現できるレベル(ビジネスレベル)
口頭試験の各級のレベル
初級:簡単な日常会話ができるレベル
中級:比較的流暢にコミュニケーションがとれるレベル
高級:自身の考えを流暢に表現できるレベル
自分がどの級だったら受かるのか?
自分がどの級だったら受かるのか?自分でどのくらいのレベルなのか知りたい時は、公式サイトで各級の試験の問題例を見ることが出来ます。
参考サイト(別サイト)
筆記6級・口頭高級に受かる方法
ポイント1.試験対策をしっかり行う
大学の入額試験の対策と同じで、余程その級を超越する程の実力を有していない限り、「筆記6級&口頭高級」に受かる為の対策をしないと受かりません。
主に過去問を中心に勉強しました。過去問を何度も繰り返し勉強することで、問題の傾向が分かってきます。傾向が分かる頃には結果的に総合力の底上げにも繋がます。
最初は正答率40%以下でしたが、最終的には正答率80%以上にまで上げてから受験し、無事に合格しました。
実際、私よりも実力の高い友人と2人で、レベルが似ていると言われているHSK6級と中国語検定2級を一緒に受験しました。
結果
- 私:HSK6級合格、中国語検定2級不合格
- 友人:HSK6級不合格、中国中国検定2級合格
試験対策の比重が私はHSKが高くて中検が低く、友人はHSKが低く中検が高かったのが大きく影響したと思っています。
ポイント2.基礎能力を高める
「試験対策が重要」と言いましたが、当たり前ですが基礎的な語彙力や聞き取り能力が備わっていないと過去問を開いても理解することは出来ません。
因みに私は中国に留学して1年が経った時点で4級に同格し、大学卒業前に筆記試験6級と口頭高級に合格しました。受かった時の私の学力ステータスを紹介します。
≪筆記4級≫
1年の留学経験があれば少し過去問を解けば簡単に合格出来ました。
※留学中のクラスは中級1(中の下)でした。
※因みにこの時点で、個人旅行で2週間くらい中国周遊が可能なレベルになっていました。
≪筆記6級&口頭高級≫
1年半の留学経験で、試験対策をすれば、合格の可能性が高い。
※留学中のクラスは中級2(中の上)でした。
※個人旅行で1ヶ月半くらい中国周遊が可能なレベルになっていました。
試験対策(筆記6級)
私が大学在学中に筆記試験6級と口頭高級に合格したので時間が沢山ありました。
受験を決めてから試験までは3ヶ月くらいありました。
最初の1~2ヶ月
曜日毎に「聞き取り」「文法」「長文読解」と分野を分けてひたすら参考書の練習問題をやり続けました。
後は、単語帳1冊を1週間くらいでやり終えるペースで行いました。(※語彙力ばかりは対策だけではどうにもならないので、日々の努力が重要です。)
勉強時間は大学やバイトの無い日は3~4時間くらい。予定のある日は1~2時間くらい。
最後の1ヶ月(前半)
ひたすら過去問を解き続けました。毎日1~3回分を解き、正解した問題も間違えた問題も全て解説を読み答えを理解することに努めました。
聞き取りに関しては、必ず解説の本文全文を見ながら再度音声を再生して、音と字を頭の中で連結するようにすることが重要です。
+単語帳1冊を1週間くらいでやり終えるペースで行う。
最後の1ヶ月(後半)
ラスト2週間で若干ガソリン切れになったのと、過去問をやりすぎて若干暗記気味になってきたので、毎日過去問1回分と、単語帳のぺらぺら捲って覚えられてない単語を見直すくらい。
試験対策(口頭高級)
最後の1ヶ月
口頭試験の対策期間は正直短かったです。決して疎かにしていたわけではないですが、筆記試験の対策に時間を取られてしまいました。
- 過去問をしっかり行う。最低2周以上
- 試験同様、実際に口に出して、それを録音して自分でしっかりと聞き直す。そして、それを再生して出来栄えを確認する。
- 過去問に書かれている合格の為のポイントを理解する。
試験当日のアドバイス
1.【第2部分 朗読】
声は大きく。
試験当日は、1つの教室の中で全員が一斉に自身の録音機に向かって喋べるので、周りに負けないように大きな声で喋りましょう。
2.【第1部分 要約・第3部分 読み取り】
周りに流されない。
各問題に録音可能時間(第2部分は各2分間、第3部分は各2.5分間)が設定されていますが、超えても駄目ですが、極端に短くても駄目です。
そこで何が起こるかと、もしも周りの受験生のレベルが低いと、録音開始後、ソッコーで喋る内容が無くなって黙る受講生が出始めるのです。
そして開始1分のしない内に、教室の中で喋っているのは自分だけ!という状況になります。
しかし、それは間違いでも恥ずかしいことでもないので、周りに流されず自分が喋ろうと思った内容は全て出し切りましょう。
実際に使っていたおすすめの教材
≪中国語検定HSK公式過去問集6級≫
HSKの過去問を書店で探すとなぜか5級までは並んでいるが、最高級となる6級の過去問となると書店に並んでいないこともあり、当時もAmazonで購入しました。
5回分の過去問が乗っており、全問題に解説と和約が載っている。解説も単に正誤の説明だけではなく理解に導くような内容となっており、非常に良質な出来栄えとなっている。
≪中国語検定 HSK 公式 過去問集 口試≫
筆記6級と同様に書店に並んでいなかった為、こちらも当時Amazonで購入しました。
こちらも5回分の過去問と全問題に解説と和約&解答例が載っており非常に良い1冊。
また、合格する為のノウハウも載っており、試験中に「読み方が分からない言葉」が出てきた時の対処法も載っており、これが試験合格に非常に大きく影響した。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
色々と書きましたが、「筆記:6級」と「口頭:高級」は超難関という程ではありません。
留学1年以上の経験者であれば、適切な試験対策をすれば十分合格の可能性はあると思います。
しかしながら、仮にも最高級となるので、それなりの勉強時間は必要となってきます。まだ時間に余裕のある学生の間の合格を強くおすすめします。
また、就職の際にも実際に大きく影響します。私が最初に勤めていた会社も選考条件に「「中国語ビジネスレベル"必須"」となっていましたが、「筆記6級」と「口頭高級」があったことで、無事に選考基準クリアとなりました。
現在は、昔よりも試験の実施回数が増えています。受験して自身の実力を書面で証明してみてはいかがでしょうか。