中国 商務貿易(M)ビザの必要書類の一つである「招聘状」の作成方法を詳しく解説します。
招聘状はMビザの審査の中で最も厳しく審査される項目となるので、しっかりと見ていきましょう。
更新事項
【更新】「マルチビザの申請条件の緩和」
マルチビザの申請時求められていたMビザの取得歴が一部廃止されます。
これにより初めてのビザ申請でもマルチビザの申請が可能となります。
詳しくはこちらhttps://tabinopro.com/chinease-businessvisa
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【徹底解説】中国 商務貿易(M)ビザ 「招聘状」の作成方法
必要項目&注意事項
解説①「発行日」
発行年月日は申請開始日より1ヶ月以内が推奨ですが、最大3ヶ月以内であれば問題ありません。
解説②「宛名」
申請する管轄地域の大使館・領事館の名称を入力します。
-
- 《東京》
【日本語】中華人民共和国駐日本国大使館 御中
【中国語】中华人民共和国驻日本国大使馆:管轄地域:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、長野県、山梨県、静岡県、群馬県、栃木県、茨城県
- 《大阪》
【日本語】中華人民共和国駐大阪総領事館 御中
【中国語】中华人民共和国驻大阪总领事馆:管轄地域:大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀・愛媛・高知・徳島・香川・広島・島根・岡山・鳥取
- 《名古屋》
【日本語】中華人民共和国駐名古屋総領事館 御中
【中国語】中华人民共和国驻名古屋总领事馆:管轄地域:愛知県、岐阜県、福井県、富山県、石川県、三重県
- 《東京》
ポイント
※各ビザセンターは管轄地域内に現住所または勤務先がある場合に利用可能
※招聘状を日本語で作成する場合には、必ず後ろに「御中」を付ける。
※招聘状を中国語で作成する場合には、御中の変わりに「:」を付ける
※「.....領事館 領事部 御中」というように領事部という言葉はあってもなくてもどちらでも問題ありません。
解説③「招聘状発行元(中国現地企業)情報」
次の4つの中国現地の会社情報を入力します。
- 会社名
- 住所
- 電話番号
- 法定代表者名(※ただの”代表者”では不可)
※法廷代表者には「憧事長」以外にも「総経理」も含まれます。
法廷代表者以外について
法廷代表者が最も適切となりますが、それ以外の場合は最低でも部長クラスなどの責任のある立場の人物を入力しなければいけません。但し、その場合は「法定代表者」とはせずに「代表者」とした上で、役職を補足で記載する必要があります。
《例》
代表者:王麗康
役職:品質管理部長
解説④「署名&会社の印鑑」
≪印鑑について≫
使用可能な社印は公安局へ登録済の会社の正式な印鑑となり、事務作業用の簡易的な物等は不可となります。
直筆署名と会社の印鑑は少し重なるように押す必要がありますが、互いが重なりすぎて、文字等が認識出来ないものは不可となります。
印鑑の会社名はパソコン入力した会社名と完全に一致する必要があります。
バーコード等の記載がある場合はスキャナで読み取れる必要があります。
≪サインについて≫
サインは必ず代表者の直筆書面が必要となり、角印等での代用は不可となります。
書体に制限はありませんが、崩し字で書面をされている場合、パソコン入力での名前の入力も必須となります。
≪押印とサインの順番≫
印鑑と署名は以下の順番で行います。
1.パソコンで入力した物を印刷
↓
2.代表者の署名
↓
3.印刷
インクは濃い目が推奨
ハンコは濃い目で押して貰うように依頼しましょう。
殆どの場合、中国現地で印鑑を押されたものをスキャンして日本側で印刷する事になりますが、その場合、原本よりも少し薄くなったり、画素が少し落ちてしまいます。そうならない為にも押印時には濃く押す必要があります。
解説⑤「ビザ申請人情報」
ビザの申請人の情報を入力します。
- 姓名(漢字)
→「高,髙」「辺,邊,邉」「己,巳,已」「崎,﨑」など読みが同じ漢字でも異なる漢字が複数持つ名前の場合は注意が必要です。 - 姓名(アルファベット)
→順番は姓名(TANAK/TARO)でも名姓(TARO/TANAAKA)でも問題ありません。 - 性別
- 国籍
- 生年月日
→必ず西暦で入力します。 - パスポート番号
- 日本の所属会社名
- 電話番号
→申請用紙の入力内容と一致するようにしましょう。
解説⑥「招聘目的」-重要-
招聘目的は渡航して行う主な業務内容を入力しますが、具体的な言葉を使って表現しなければいけません。
OKなパターンポイント
「洗濯機用モーターの製造業務及び会議、商談」
「経営会議(長期5ヶ年計画)への参加」
「現地にて開催される〇〇〇〇展示会への出店作業及び商談」
NGなパターン
「会議・商談」
「出張」
「現地法人の訪問」
→言葉が簡易過ぎます。具体的な言葉を織り交ぜるようにしましょう。
解説⑦「会社関係」-重要-
招聘目的と同様に具体的な言葉を使って表現しなければいけません。
→例:「洗濯機用モーターの共同開発関係」
招聘目的と類似する関係にするのが最もシンプルで通りやすいです。
注意事項
- 商品生産関係等の表現をする場合、具体的な商品名が入っていなければいけません。
例:「洗濯機用モーターの共同開発関係」 - 「親会社、合併会社、合同会社」等の表記の場合、株率の記載が必要となります。
例:親会社(○○株式会社 100%出資)
例:合同会社(○○株式会社 80%出資) - ○○元、○○先という表現について
会社関係に「〇〇〇の発注先or発注元」という表現を使う場合、招聘状を作成しているのは中国の企業となる為、会社関係は「招聘状作成者側のからみた日本企業の立ち位置」となります。日本企業が中国企業に商品の製造を依頼している場合、招聘状には「〇〇商品の生産業務発注元」としなければいけません。逆に申請用紙の会社関係欄には「〇〇商品の生産業務の発注先」となります。(招聘状は日本企業が作り、印鑑と署名だけを中国企業に貰う場合、このミスが起こりやすいので、注意が必要です。)
解説⑧「滞在期間」-重要-
滞在期間は、希望するビザが必要となる日数でなければいけません。尚、申請するビザ種類により必要な日程の数が異なります。
《日程の数》
- 1次=1個
- 2次=2個
- 半年マルチ=3個以上
- 1年マルチ=3個以上(※最終の行程の入国日は申請日から7ヶ月以上)
- 2年マルチ=3個以上(※最終の行程の入国日は申請日から13ヶ月以上)
《1回の期間》
- 滞在日数30日=20日以上30日以内が推奨
- 滞在日数60日=40日以上60日以内が推奨
- 滞在日数90日=70日以上90日以内が推奨
※日程を計算する時に安易に「90日だから3ヶ月の同日」等にすると、31日の月がある場合、合計すると"92日"になる場合があるので、しっかりとカレンダーで数えるようにしましょう。
※招聘状に記載する日程は実際の渡航日程と一致していなくとも問題ありません。
【例】「2年マルチ90日」を2020年3月1日に申請する場合
OKなパターン
≪査証種類≫
業務2年マルチ90日
≪滞在期間≫
- 2020年04月01日~2020年06月10日
- 2020年09月01日~2018年11月14日
- 2021年02月01日~2021年02月18日
- 2021年03月16日~2018年06月02日
NGなパターン
≪査証種類≫
業務2年マルチ90日
≪滞在期間≫
- 2020年04月01日~2020年06月10日
- 2020年09月01日~2018年11月14日
- 2021年02月01日~2021年02月18日
→日程が3種類ありますが、この日程では1年マルチで足りる範囲となっていまう為、申請不可となるか、1年マルチが自動的に発給される場合があります。
解説⑨訪問都市
招聘企業がある都市名(例:上海)のみを入力します。
注意ポイント
- 会社の住所を詳しく記入したり、滞在先のホテルの住所を詳しく入力することは不可となります。
- 複数の都市名を記載する場合は、招聘目的の所に、複数の都市を訪問する必要性を記載しなければいけません。
【例】
招聘目的:上海市と武漢市で開催される〇〇展示会への出店作業及び商談
解説⑩希望するビザの種類
希望するビザの種類を記載します。
≪例≫
- 商用Mビザ1次30日
- 商用Mビザ2次30日
- 商用Mビザ半年マルチ30日
- 商用Mビザ1年マルチ30日
- 商用Mビザ2年マルチ30日
ポイント
希望するビザ種類が分かれば記載方法に特別な決まりはありません。
- 商用貿易Mビザ1次3ヶ月有効 最長滞在日数30日
等でも問題ありません。
解説⑪渡航費等を負担する企業名
渡航費等を負担する企業名を記載。原則日本の所属会社か、中国の現地企業のいずれかを記載します。
※申請用紙に記載している内容と一致させること。
その他、作成時の注意事項
ココに注意
- A4サイズで1枚に収まるようにする。
- 書体は基本的に全て同じフォントを使う。
※日本のパソコンで中国語表記で作成する場合、フォントは「Simsun」を使用すると文字の大きさを統一出来ます。
- 使用言語は日本語か中国語のどちらかのみ。
※使用言語は統一させること。
※英語の使用は原則一切不可。会社名や商品名に関しても可能な限り日本語か中国語で表記すること。 - 「直筆署名」と「社印」以外は全てパソコンで入力する。
- 最下部には「記載業務以外は行わない」と「中国滞在中は法律を遵守します」という一文を記載すること。
- 中国大使館・領事館の申請規則は急遽予告なく変更となる場合がある。
展示会に参加する場合
展示会に参加する為に、中国への渡航を希望する場合、展示会主催者が発行した招聘状で申請可能。
フォーマットに関しては今回ご紹介している様な明確な指定はなく、以下の必要事項を満たしていれば申請可能。
- 申請者の名前(パスポートに記載の内容)
- 申請者のパスポート番号
- 申請者の日本の所属企業
複数の企業に訪問予定の場合
【1次】1社からの招聘状での申請も問題ないが、複数の企業に訪問予定の企業から取得しても良い。
【2次】1社からの招聘状で2回分の渡航日程の記載があれば、1社からの招聘状での申請も問題ない。各企業から1回ずつの渡航日程の招聘状を1枚ずつ貰う場合は、2社からの招聘状でも問題はない。
【マルチ】マルチビザの場合は、1社からの招聘状に対してのみビザが発給されるので、複数の企業に訪問予定でも申請に使用する招聘状は1社から招聘状でなければならない。