航空券・旅行会社

【解説】旅行会社が販売する海外航空券の利益の仕組みと販売額設定の裏側

今回は、旅行会社が販売している海外航空券の仕入経路と、どこから利益を出しているのかを解説していきます。

海外航空券といっても、正規運賃、格安航空券(IT運賃)、正規割引運賃(PEX運賃)と色々な種類がありますが、今現在最も大きく出回っている正規割引運賃(PEX運賃)を主な基準として説明していきます。

【解説】旅行会社が販売する海外航空券の利益の仕組みと販売額設定の裏側

入手&販売経路

旅行会社で販売されている航空券全般に言えることですが、

旅行会社は代理販売所に過ぎず、航空券は全て航空会社から仕入れたものを旅行者に販売しています。

「仕入れて販売」とは言っても今はITの時代ですので、旅行会社の航空券販売用の専用端末で、航空会社の在庫状況にアクセスし、空席状況と料金を検索し旅行者に販売しています。

航空券販売図

そして、この航空会社の空席状況と料金というのは、原則的に全国の旅行会社が同じものを見ているのです。

インターネットの総合比較サイト等で検索すると、どの旅行会社も似たような料金が出ていると思いますが、これがその答です。

 

旅行会社により料金が違う理由は手数料やコミッションの違いにあります。

では、どのようにして旅行会社が利益を出しているのか、どうして旅行会社によって料金が違うのか、その理由を見ていきましょう。

例えば「〇月○日、バンコクに行きたい」となった場合、
比較サイトを見たり、色々な旅行会社に問い合わせをすると、料金が微妙に違うと思います。

  • 旅行会社A(オンライン):航空券代金49,500円+TAX15,000円
  • 旅行会社B(オンライン):航空券代金50,000円+TAX15,000円
  • 旅行会社C(店頭販売) :航空券代金54,000円+TAX15,000円
  • 旅行会社D(店頭販売) :航空券代金55,000円+TAX15,000円

 

同じ航空券でも販売価格に違いがある主な理由は以下の通りです。

IATA公認代理店かどうか

 国際航空運送協会(IATA)が定めた基準をクリアした会社のみ加盟することが出来ます。加盟している旅行会社は航空会社から航空券を仕入て発券し、旅行客に販売することが可能です。
正式に認可を受けた旅行会社であってもIATA公認代理店でなければ航空券を発券することは出来ないので、IATA公認代理店から仕入れたものを旅行客に販売する必要があります。

航空会社から発券許可を得ているか

 旅行会社が航空券を発券する為にはIATA公認代理店である必要がありますが、IATA公認代理店であっても、全ての航空会社のチケットの発券が自由に出来る訳ではありません。
IATA公認代理店であれば自由に発券出来る航空会社もあれば、個別に申請し許可を得られなければ発券が出来ない航空会社も多数存在します(※海外の大手航空会社など)

コミッションの有無や%値の違い

 旅行会社が航空会社から航空券を仕入れる際に、定価ではなく数パーセントのコミッションが受けられる場合があります。(例:10万円の航空券で2%のコミッションの場合、実際は98000円で仕入れてています。)
コミッションの有無や数値が航空会社により異なりますが、IATA公認代理店が一律受かられる公示コミッションと、各旅行会社向けに独自に設定されるプライベートコミッションの2種類が存在します。

 

このように同じ航空券でも料金が違う理由は、仕入れ時の手数料やコミッションの違いにあります。

A~Dの旅行会社が△航空の50,000円のチケットを販売して、5,000円の利益を出す場合について、旅行会社の形態ごとに説明します。

 

旅行会社A
・IATA公認代理店
・△航空の発券可能
・コミッション10%保有

【販売額】
航空券代金:50,000円
総額:50,000円

この旅行会社はコミッション10%を持っている為、50,000円のチケットでも実際は45,000円で仕入れることが出来ます。

その為、50,000円のチケットをそのまま50,000円で販売しても5,000円の利益があるのです。

旅行会社B
・IATA公認代理店
・△航空の発券可能
・コミッション0%

【販売額】
航空券代金:50,000円
発券手数料:5,000円
総額:55,000円

この旅行会社はA社同様に航空会社から直接航空券を仕入れることができますが、コミッションがない為、そのままの料金では販売することが出来きず、旅行会社の利益(手数料)として5,000円を上乗せして販売しています。

旅行会社C
・IATA公認代理店
・△航空の発券不可(許可なし)

【販売額】
航空券代金:50,000円
発券手数料:8,000円
総額:58,000円

この旅行会社はIATA公認代理店ですが、航空会社から航空券を仕入れる権限(契約)が無い為、予約を自社で行っても最終的な発券は他のIATA公認代理店に依頼しなければいけません。その為、仕入れ時の手数料が増えてしまっているのです。

旅行会社D
・IATA非加盟
・航空券の予約端末もなし

【販売額】
航空券代金:50,000円
発券手数料:10,000円
総額:60,000円

この旅行会社は正式に認可を受けた旅行会社ですが、IATAに加盟しておらず、航空券の予約端末も持っていない為、航空券の予約・発券を他の代理店に全て依頼しなければならず、必要的に仕入時の手数料が最も高くなります。

 

このように直接販売が可能で、尚且つコミッション率の高い旅行会社ほど安価な価格設定でも利益を出しやすい仕組みとなっています。

尚、コミッションの違いは、旅行会社がどれだけの数を販売しているかによって決まります。

沢山販売すればする程、旅行会社は航空会社から高いパーセンテージのコミッションを貰えるのです。

 

 

ここで少し業界の裏話についてお話したいと思います。

旅行会社E
・IATA公認代理店
・△航空の発券可能
・コミッション5%保有

【販売額】
航空券代金:47,600円
総額:47,600円

この旅行会社は、もっとも仕入に強くて販売額の安いA旅行会社の50,000円よりも更に安い金額で販売しているのはどうしてでしょうか?

《例》
旅行会社A(コミッション10%)
50,000円のチケットを45,000円で仕入れて、50,000円で販売して、コミッション分の5,000円で利益を出している。

旅行会社E(コミッション5%)
50,000円のチケットを47,500円で仕入れて、47,600円で販売して、差額100円の利益を出している。

中~小規模の旅行会社が超大手の旅行会社に価格面での差をつける為に、大手の最安値よりも若干安くして販売しているからです。

これは、航空券のネット販売が主流となり、ユーザーが低価格を追い求めた結果、価格競争が激化したという背景があります。

また、旅行会社が航空会社から航空券の発券権限の更新(継続)や多くのコミッションを受けるには一定以上販売成績が必要な場合がある為、ノルマ達成の為に利益度外視の販売価格を設定しているという場合もあります。

しかし、一般的な旅行業界の規定では「公示運賃の金額を下回って販売してはいけない」となっているので、このような方法はグレーゾーンとなります。

 

 

まとめ:どこを選ぶのがよいか

今回ご紹介させていただいた通り、仕入力が最終的な航空券の販売価格に影響してきます。

また、それ以外にも、その旅行会社が航空券の販売のみで利益を出しているのか、それともその他のサービスも提供して総合的に利益を出しているのかなど、様々な要因がある為、問い合わせた旅行会社が他社よりも数千円高いからといって、”ボッタクっている”という訳ではありません。

 

インターネットで安い料金を出している大手旅行会社は殆どがパソコンによる自動予約ですが、
中小の旅行会社では、電話やメールでの問い合わせには、実際に人がパソコンを叩いて調べていますので、人件費という面で差が出てしまいます。

チケットの購入や旅行に慣れていて、とにかく安さを求めるのか。
または、ネットやオンライン決済はややこしいので、人の手を借りて、+αのサービスを求めるのか。

色々と考慮して決めると良いでしょう。

 

※今回紹介した事例は、基本的な一例となります。旅行業界の航空券の売買が全てこのパターンというわけではありません。

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